柳宗理の片手鍋は1959年に柳宗理によってデザインされたプロダクト。その後、オリジナルデザインをもとに1997年に改良が加えられ、1998年にグッドデザイン賞を受賞しました。
進化した雪平鍋ともいえるその機能性と佇まいは、日々の調理のなかで手になじみ、使うたびに心地よさを感じさせてくれます。美しさと機能性を高いレベルで両立したデザインはまさに「用の美」を体現したプロダクトといえ、現在もロングセラーを続けているのです。
この記事では、柳宗理の片手鍋が「一生もの」と称される理由や選び方、実際の口コミ・評判を詳しくご紹介します。
柳宗理の片手鍋の良いところ

柳宗理の片手鍋は、何十年にもわたって愛され続けてきたロングセラーです。現在も、さまざまなメディアにたびたび取り上げられ、不朽の名作として注目を集めています。なぜ、これほどまでに時代を超えて多くの人に愛されるのでしょうか。
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柳宗理の個性的なデザイン
柳宗理のプロダクトには、一目で心を惹きつける美しさがあります。和食にも洋食にもなじむモダンなフォルムで、さまざまなキッチンに自然に調和する片手鍋です。
ネジなどの接合部分が外に出ていない構造は、全体の造形をすっきりと見せ、プロダクトとしての美しさをいっそう引き立てます。吊り下げ収納ができるフック付きで、キッチンに飾れば「見せる収納」としても映えることでしょう。
左右に張り出した注ぎ口は、柳宗理らしい独自のフォルムです。機能的でありながら形としての美しさも備えており、日用品でありながら、使う人の手になじみ、生活のなかに溶け込むよう設計されています。

柳宗理は彼自身のプロダクトについて「使われる彫刻」と表現し、道具としての実用性と、美しさを感じられるデザインを一体として捉えていました。
この片手鍋もまた、ただの調理器具ではなく、日々の暮らしのなかで存在感と温かみを放つ道具として、長く愛される逸品なのです。

柳宗理を尊敬しているプロダクトデザイナーの深澤直人さんは、「いい意味での”ださいような味わい”」があると表現していたよ(※)。
若い方なら昭和っぽいと思うかも。スタイリッシュすぎないので、フツーの台所にしっくりとなじみます。
※出典:MAGAZINE HOUSE(2008). Casa BRUTUS特別編集「柳宗理」
フタをずらして温度調整や水切りできる

柳宗理の片手鍋は、見た目の美しさだけでなく、調理のしやすさにも工夫があります。なかでも注目されるのが、フタをずらして使える便利な機能です。
フタに付いた「○」印を本体の柄に合わせれば密閉でき、少し回すと隙間ができて蒸気を逃がせます。これにより、吹きこぼれを防ぎながら煮物やゆで調理が行えます。フタを少しずらす一般的な方法と違って安定感が抜群ですし、微妙な調整も自由自在です。

一般的な雪平鍋とフタでも水切りはできなくはありませんが、調整が難しいですよね‥…
でも、柳宗理の片手鍋なら、大きめ野菜の茹でこぼしから、うどん・そばの水切りまでかなり幅広く使えます。


上写真の「MIN」状態なら、例えば、乾燥わかめのように小さなものの水切り、湯切りでも大丈夫ですよ!
さらに、ほうれん草やじゃがいもをゆでたあと、ザルを使わずそのまま鍋を傾けて湯切りできます。調理がスムーズになるうえ、洗い物が増えないのは、日々の料理のなかでの嬉しいポイントといえるでしょう。

左右に付いた注ぎ口は、持ち手に対して微妙に上側にあり、しかもわずかに斜め上(105度)に向いています。これは、右利きの方が左手をフタに添えた際に、左手で注ぎ口が見えなくなってしまうのを避け、さらに熱湯を遠い側に落とすためです。


1959年の初期モデルは真ん中で柄に対して直角(90度)の注ぎ口でしたが、1997年の改良によって、使いやすくなりました!
左右どちらからでも注げる
柳宗理の片手鍋の注ぎ口は両側に張り出しており、右利きでも左利きでも使いやすいように考えられています。家族や複数人で共有する場面でも便利でしょう。
また、注ぎ口は外側に向かって少し反っていて、牛乳やスープのようなとろみのある液体でも液だれしにくい形になっています。使うたびに、細かな配慮を実感できます。
「注ぎ口が大きいため、注ぎの微調整が難しそう」と思っていましたが、勢いを細かく調整できました。こだわらないのであれば、コーヒーのハンドドリップなども十分できるくらいです。

著名なイラストレーターで熱心な柳宗理ファンでもある大橋歩さんは、ミルクティーを一滴もこぼさず注げる柳宗理のミルクパンに本当に驚いたと述べていました(※)。
もちろん片手鍋でも一滴もこぼさず注げますよ。
※出典:KADOKAWA 道の手帖(2012).柳宗理 「美しさ」を暮らしの中で問い続けたデザイナー

万一、液だれするようであれば、販売店やメーカーに相談してもよいかもしれません。購入者の口コミによると、メーカーに再調整し直してもらったケースがありました。
しっくりなじむハンドル

鍋を扱うとき、持ちやすさや滑りにくさはとても重要です。柳宗理の片手鍋には、女性の手にも自然になじむよう工夫された形状のハンドルが採用されています。
表面素材は「フェノール樹脂」という硬質ゴムで、一言でいえば「もち肌」のような心地のよい感触です。それでいて、油が舞いがちなキッチンにおいてもべたつかず、驚くほどさらりとしています。他社製のゴム製ハンドルは時間が経つとべたべたしてしまうこともありますが、柳宗理のものは長く使っても快適な手触りが続くのが特長です。

言葉にするのは難しいのですが、柳宗理の片手鍋の柄の形は、持つたびにしっくりくる喜びを感じます。このような鍋の柄はほかにはありません。
細いところと太いところがありますので、手の大きさに合わせて丁度良い場所を見つけられると思います。
パーツが交換できる
柳宗理の片手鍋は、パーツ交換に対応しています。
キッチン道具は使い続けるうちに、取っ手やフタのツマミなどが劣化することがありますが、柳宗理の鍋なら、必要に応じてハンドルやツマミを自分で交換できます。
例えば、ハンドルは先端のボルトを緩めるだけで簡単に取り外しが可能です。ツマミも工具を使わず手で反時計回りに回せば外せる仕組みなので、手間がかかりません。
交換用のパーツは、全国の取扱店舗やオンラインで購入可能です。道具そのものを買い替える必要がなく、使い慣れた鍋をそのまま大切に使い続けられますので、まさに、「一生もの」の片手鍋となるでしょう。
柳宗理の片手鍋の選び方
柳宗理の片手鍋は人気商品だけあって、バリエーションが豊富です。以下の3点を軸に自分に合ったプロダクトに絞り込んでいきましょう。
- サイズ(18cm、22cm)で選ぶ
- IH対応かガス火専用で選ぶ
- つや消し・ミラーで選ぶ
サイズ(18cm、22cm)で選ぶ
柳宗理の片手鍋は、分類上はサイズ違いの製品になっていますが、用途は明確に違います。使い分け方について、以下にまとめました。
| 比較項目 | 片手鍋 18cm | 片手鍋 22cm |
| サイズ | W351×D218×H117㎜ ※内径は18cmですが、注ぎ口込みだと21.8cmです | W423×D260×H123㎜ ※内径は22cmですが、注ぎ口込みだと26.0cmです |
| 容量 | 約2リットル | 約2.5リットル |
| 適した人数 | 1〜2人用 | 3〜4人用 |
| 向いている調理 | 味噌汁・副菜・少量の煮物・お湯を沸かす | カレー、煮込み料理(肉じゃが、筑前煮、煮魚など)、麺類(パスタ、麺類)など |
| 特徴・使い方の例 | 小回りが利き、コンパクト。少量調理に最適 | 大容量で万能。家族向けのメイン調理にも◎ |
18cmの片手鍋は、毎日お味噌汁を作るようなご家庭には必須といえる片手鍋の種類です。現在18cmの雪平鍋をよく利用しているなら、こちらとバトンタッチになるでしょう
一方、22cmの片手鍋は主にメイン料理向けです。柳宗理の片手鍋はデザイン性が高いため、すき焼きやチゲ鍋といった鍋料理をそのままドーンと食卓に運んでも違和感がありません。

22cmの片手鍋は1~2人分のパスタ、そばなどの麺類が、ほぼ横に投入できるのも便利です。
22cmの片手鍋の対流は非常によく、まるで真ん中から水が湧き出ているかのように、麺がグルグルと回ります!吹きこぼれにくいため、少ない水量でもしっかりゆでられます。
IH対応かガス火専用で選ぶ
IH対応タイプは、ステンレスとアルミを重ねた三層構造が特徴です。IHコンロを使っている場合は、こちらが必須となりますが、ガスコンロでも問題なく使用できます。
このタイプは、熱が均一に伝わりやすく、焦げ付きにくいため、じっくり火を通したい料理におすすめです。例えば、豚の角煮や筑前煮、ポトフなどの煮込み料理が、おいしく仕上がります。
一方、ガス火専用の単層タイプは軽量で扱いやすく、火の反応も早いため、直火調理の感覚で手早く料理したい方に適しています。ただし、熱が一点に集中しやすいため、こまめな火力調整が必要で、焦げ付きやすいと考えておきましょう。
つや消し・ミラーで選ぶ
柳宗理の片手鍋には、「つや消し」と「ミラー」の2つの仕上げがあります。
つや消しは、表面がマットで落ち着いた印象を与えます。指紋や汚れが目立ちにくく、傷も目立ちにくいため、日常使いにおすすめです。IH対応タイプがあるのはこのつや消し仕様のみとなります。
一方、ミラー仕上げは光沢のある鏡面加工が特徴で、清潔感があり見た目にも美しいです。ただし、ミラー仕上げはガス火専用タイプのみで、IH対応タイプは販売されていません。
柳宗理の片手鍋を購入する前に検討したいところ
柳宗理の片手鍋は非常に完成度の高いプロダクトですが、強いて挙げれば、いくつかの注意点があります。
揚げ物はできない
柳宗理の片手鍋は多用途に使えることで知られていますが、取扱説明書では「揚げ物には使用しないでください」と明記されています。
ステンレス鍋で揚げ物ができそうに思えますが、公式では不可と書かれていますので、使い方は守りましょう。揚げ物には市販の専用鍋を使うのが安心です。
重い(IH対応タイプの場合)
柳宗理のIH対応タイプは、厚底の三層構造になっているため、人によっては重いと感じるでしょう。以下に重量をまとめました。
| 比較項目 | 片手鍋 18cm | 片手鍋 22cm |
| IH対応タイプ | 1,060g | 1,340g |
| ガス火専用タイプ | 840g | 1,000g |
例えば、2人前のパスタソースを作って鍋の中で和えてから盛り付ける際は、パスタソース400g+パスタ200g+片手鍋1,340g=約2kgとなります。握力が弱い方や、力がないシニアの方などは、少しでも軽いガス火専用タイプを選んでもよいでしょう。
柄が緩んでくる

柳宗理の片手鍋は、構造上、1~2年使っていると柄が緩んできます。実際、口コミのなかには「柄が緩んでくるので、買い替えた」といった方もいます。
しかし、ドライバーで締め直せばよいため、実際はほとんど手間ではありません。一般的な雪平鍋では、柄がガタついてくることも珍しくありませんが、柳宗理の片手鍋ならメンテナンスすれば長年にわたって利用可能です。
フタのツマミが安定しない・冷蔵庫に入れにくい

柳宗理のツマミは愛らしく、キッチンに置くだけでどこか温もりを感じさせてくれますし、つかみやすさも抜群です。
しかし、この独特な形状にはひとつ注意点があります。フタのツマミが平らではないため、裏返して置いたときにコロコロと動いてしまい安定しません。ピタっと置きたい方にとっては、ややストレスになる場合があるでしょう。
さらにフタの高さもそれなりにあるため、冷蔵庫に入れにくい場合があります。ただし、フタ込みの高さは18cmの片手鍋が11.7cm、22cmが約12.3cmですので、鍋ごと入れる際でも、冷蔵庫の高さのある段ならそのまま入るでしょう。
柳宗理の片手鍋の口コミ・評判
柳宗理の片手鍋を実際に購入した方は、どのような感想を持っているのでしょうか。代表的な口コミを紹介します。
【良い口コミ】
「フタを使えば湯切りもできるし、キッチンに欠かせないアイテム」
「汁が注ぎやすい」
「ご飯2合、そうめん200gが煮炊きできる」(IH対応タイプ、22cm)
「つや消し仕上げは指紋や汚れが目立たないし、お手入れも簡単」
「おしゃれなデザインでお料理が楽しい」
「IH対応は厚い三層構造なので焦げ付きにくい」(IH対応タイプ)
【悪い口コミ】
「重すぎて洗うのが嫌になる」(IH対応タイプ)
「鍋のなかでは薄い方で、鍋肌に焦げが付いてしまう」(ガス火専用タイプ)
柳宗理の片手鍋で毎日の料理が楽しくなる!
柳宗理の片手鍋は、デザイン性と実用性を兼ね備えた、まさに一生ものの調理道具です。サイズや熱源、仕上げの違いを選べるため、自分のライフスタイルにぴったり合ったものが見つかるでしょう。
柳宗理の片手鍋で毎日の料理を心地よく、楽しい時間に変えてみてはいかがでしょうか。

