柳宗理のターナーは、ぷっくりとした横広の楕円形が特徴のターナーです。一般的な台形ベースのターナーと違い、どこか手仕事の温かみを感じる美しいターナーといえるでしょう。デザイン性の高さと機能性が評価され、1974年の発売以降ロングヒットを続けています。また、シンプルで使いやすいバタービーターも高評価を受けているキッチンツールです。
本記事では、柳宗理のターナーとバタービーターの魅力や注意点、比較対象となる他ブランドのターナーなどを解説します。お気に入りのキッチンツールをそろえるための参考としてお役立てください。
柳宗理のターナーの良いところ
柳宗理のターナーは長い時の試練を経ても愛され続ける名作プロダクトの一つです。その魅力はどこにあるのでしょうか。独特のフォルムやお手入れのしやすさ、抜群の操作性などについて解説します。
絶妙の楕円形

柳宗理のターナーは、ありそうでなかった「楕円形」。一般的なターナーは「台形」で縦方向に長い形状となっているのに対し、柳宗理のターナーはぷっくりと横に広がっています。
この温かみのあるデザインに惹かれる方も多いでしょうが、実は機能的にも非常に理にかなっているのです。まず、フライパンのフチに沿ってスムーズに移動し、どこからでも具材をすくい取りやすいこと。台形ターナーのように、角がフライパンにカツカツとあたってうまい具合の角度で差し込めない……といったストレスがありません。
また、横広の形状は、チキンやポークのソテー、魚のムニエル、紅鮭といった横長のメイン具材とも相性良好です。バランスを崩さず、スムーズにお皿へと移動できます。

数々の人気レシピを発信していらっしゃる料理家・管理栄養士 長谷川あかりさんも、柳宗理のLサイズ・ターナーを使用していました。
以下のYouTubeのなかの極大で緩めの「酒蒸しハンバーグ」も柳宗理の横広ターナーなら、難なくひっくり返せてます(12分30秒くらいのところ)!
オールステンレスで衛生的
柳宗理のターナーは、オールステンレス製で衛生的に使えます。柄からヘラまで継ぎ目のない一体成形なので、洗いやすく汚れがたまりません。食洗機にも対応しており、日々のお手入れがとても簡単です。なお、バタービーターは薄いばね材を併用した二枚接合ですが、お手入れのしやすさという点では変わりません。
素材には18-8ステンレスを採用。一般的なターナーに比べて上質なステンレスが用いられていますので、耐食性や強度に優れており、家庭で使うのであれば半永久的に品質が保たれる水準です。

「オールステンレスだと熱が伝わってこない……?」と心配になる方もいるでしょうが、普通に使う分には全く熱くならないです。
もちろん、フライパンに入れたまま長時間放置していると、知らない間に熱くなっていることがあるので気を付けてくださいね。
手にフィットする美しい柄

柳宗理のターナーの柄は、人間の手で作られたような複雑で微妙なカーブを描いています。手にしたときにしっくりくる感覚は、柳宗理が試作品を何度も作り、実際に料理に使いながら考え出したものです。
例えば、薬指や小指があたる部分はやや上に湾曲しているため持ちやすく、中指と人差し指が自由に動かせるよう工夫されています。このあたりは、実際に柳宗理のターナーを手に取ってみなければわからない絶妙な感覚といえるでしょう。著名デザイナーのジャスパー・モリソンは、柳宗理のターナー、レードル、スキンマーに共通する柄の曲線を「重心までよく考え抜かれている」と述べ、絶賛しています(※)。
柳宗理のターナーは、フックにかけて保管する人にもおすすめです。心地よい曲線は横から見ても美しく、キッチンをおしゃれにしてくれます。
※引用:MAGAZINE HOUSE(2008). Casa BRUTUS特別編集「柳宗理」
柳宗理のターナーの残念なところ
柳宗理のターナーは使いやすさを考え抜かれたプロダクトではありますが、使い方によっては不満が出るかもしれません。幾つかの注意点を解説します。
テフロンフライパンには不向き
柳宗理のターナーは、テフロンコーティングのフライパンにはやや不向きです。ステンレス製のためナイロンやシリコンに比べて硬く、どうしても表面をこそげとってしまいやすいからです。柳宗理のターナーは角が丸みを帯びていて厚みもありますが、使い方次第では傷の原因になるため丁寧に扱う必要があります。
一方、鉄製フライパンやステンレスフライパンなら、柳宗理ターナーは真価を発揮します。重さのある食材もすくいやすく、シンプルで美しいデザインは料理の楽しさを高めてくれます。

柳宗理は鉄製フライパンも販売していますので、買いそろえればいっそう使いやすく、キッチンが映えることでしょう。
柳宗理は鉄製フライパンも販売していますので、買いそろえればいっそう使いやすく、キッチンが映えることでしょう。
厚みがあるためすくいにくい場合がある
柳宗理のターナーやバタービーターは、ステンレス製で先端の厚みが1mmほどあります。シリコン製のように先端が薄くエッジ加工されていないため、差し込みにくいと感じる方もいるかもしれません。例えば、目玉焼きがフライパンにこびりついたときには、エッジ加工されたシリコンターナーと違い削り取るような動きがしにくく、やや取りにくいと感じる場面があります。
すくい取る動作を重視するのであれば、ターナーよりも先の部分が薄いバタービーターのほうがおすすめです。適度なしなりがあり、フライパンに押し付けるようにして食材の下に差し込めるため、すくい取る動作がスムーズです。
柳宗理のターナーの種類と使い分け
柳宗理のターナーはS・Lの2種類で、これにバタービーターが加わります。
| 種類 | サイズ | 主な用途 |
| ターナーS | 72×47×225mm | お弁当のおかず、小ぶりな料理 |
| ターナー (Lサイズ) | 105×50×300mm | ステーキ、魚のソテー、お好み焼きなど |
| バタービーター | 80×65×308mm | ボールのなかでバターをつぶす、オムレツ、お好み焼き |
どれか一つを選びたいという場合には、ターナー(L)が最有力の候補になります。複数使い分けたい場合には、具体的な料理を想定しながらサイズを選ぶとよいでしょう。柳宗理のプロダクトはそれほど高くありませんので、徐々に買いそろえていくというのも一つの手です。
バタービーターは柄の部分に薄いバネ材が含まれているため、適度なしなりがあり、ターナーよりも先端が薄くなっています。また、面積が大きいため、オムレツやお好み焼きといった大きめの料理をすくう際もバランスが崩れません。
柳宗理のターナー、バタービーターの口コミ・評判
柳宗理のターナー、バタービーターは長年の販売実績がある完成度の高いプロダクトですが、実際に使ってみた人の感想はどうなのでしょうか。代表的な口コミを要約してご紹介します。
【良い口コミ】
「変な形と思っていたが、もう昔のターナーには戻れない!」(ターナー)
「重心のバランスがよく、皿に置いたときに安定感がある」(ターナー)
「鍋側面にちょうどよくフィットする」(ターナー)
「食材を一気にひっくり返せる」(バタービーター)
「幅広い料理に使えて便利」(バタービーター)
【悪い口コミ】
「重くて使いにくい」(共通)
「商品シールの粘着力がすごくて跡が残った」(共通)

口コミ・評判は総じて好評で、悪い口コミはほとんど見つかりませんでした。
安心して購入できるプロダクトといえるでしょう。
柳宗理と比較したいターナー3選
柳宗理のターナーはユニークなデザインと機能性が魅力ですが、「他のブランドのターナーも探してみたい」という方もいるのではないでしょうか。そこで、柳宗理のプロダクトと同様に、「用の美」を感じさせるターナーを3つ紹介します。
- レズレー「ターニングスライス」
- 工房アイザワ「パセリ ターナー」
- ICHIBISHI (一菱金属)「すくいやすく返しやすいターナー」
レズレー「ターニングスライス」
レズレーは1888年創業のドイツブランドで、プロのシェフも信頼する高品質な製品を作り続けています。ドイツのプロダクトらしい質実剛健な機能美は、特に男性から好まれやすいデザインといえるでしょう。
レズレーのターニングスライスは18-10ステンレスを採用。柳宗理のターナーに用いられている18-8ステンレスよりもニッケルが多く含まれ、よりさびにくく耐久性に優れます。また、表面の深みのある輝きが特徴です。
サイズは345mm×75×37mm、重さ200gとバランスの取れたターナーです。穴あき仕様なので、パンケーキやハンバーグを返すときに余分な油や水分を落とすことができ、料理を軽やかに仕上げます。
工房アイザワ「パセリ ターナー」
工房アイザワは新潟県燕市の老舗道具店で、大正11年創業以来、手仕事と機械を組み合わせた製法を守りながら現代の暮らしに合う道具を作り続けています。
「パセリ ターナー」は、機能美と温かみを併せ持つターナー。一般的なターナーより少し小ぶりで、フライパンはもちろんホットプレートでも扱いやすいように工夫されています。
パセリ ターナーはオールステンレスで継ぎ目がなく、清潔に保ちやすいのも特徴。赤い革紐(取り外し可)がアクセントとなり、フックにかければ見せる収納としても楽しめます。
なお、同じ「パセリ」シリーズのお玉やスキンマーは柳宗理のものと同じく横広の楕円形です。デザイン性や使い勝手の面において比較対象となるでしょう。
ICHIBISHI (一菱金属)「すくいやすく返しやすいターナー」
新潟県燕市の一菱金属は、ステンレス素材を中心とした金属加工メーカーで、現在ではその高い技術を活かし、プロ向けの厨房用品から家庭用の日用品まで幅広く製造しています。「GOOD DESIGN AWARD」や「iF DESIGN AWARD」など、国内外のデザイン賞を多数受賞している点もICHIBISHIの大きな魅力です。
「すくいやすく返しやすいターナー」は、ターナー一つで「返す・炒める・押し付ける・押し切る」ができる多機能な調理道具です。ヘッドの3辺が薄く仕上げられており、どの方向からでも食材の下にすっと滑り込み、スムーズに返せます。
また、小さめの長方形ヘッドは細かい動きに対応し、餃子や半熟卵などを崩さずきれいに返せますし、グラタンや目玉焼きなどの料理も形を崩さず取り分けられます。押し切りも可能なので、卵焼きやホットケーキをその場で切り分けるときにも便利です。
四隅はゆるやかなR形状になっているため、鍋やフライパンを傷つけません。角が取れた形状は、どこか手仕事のぬくもりを感じさせ、デザイン性の高さも追求するICHIBISHIらしいプロダクトに仕上がっています。
よくある質問
ここでは、ターナーやバタービーターについてよくある質問にお答えします。
- ターナーとバタービーターはどう違うの?
- ターナーとフライ返しの違いとは?
- ターナーは穴ありと穴なしのどっちがいい?
ターナーとバタービーターはどう違うの?
ターナーとバタービーターは、どちらもフライパンや鍋で食材を扱うためのヘラ状の道具ですが、その形状と得意な料理に違いがあります。
ターナーは「食材を返す・持ち上げる」ことに特化し、バタービーターは「繊細に扱う・混ぜる・つぶす」など用途が広いのが特徴です。
ターナーは横幅が広く、フライパンで焼いたステーキやハンバーグをしっかり支えながら返す場合に適しています。表面が平らで強度があるため、大きな食材を崩さずに返せるのが利点です。日本では「フライ返し」と呼ばれることが多く、炒め物にも活躍します。
一方でバタービーターは先端が薄く、奥行きがあるため、魚やオムレツのように形を崩したくない食材をそっとすくい上げられます。また、バターをつぶしてなめらかにしたり、ゆで卵をつぶしたりと下ごしらえにも便利です。
ターナーとフライ返しの違いとは?
「ターナー」と「フライ返し」は大きな違いはありません。
どちらも食材をひっくり返すための調理道具を指しており、日本では「フライ返し」と呼ばれることが多く、料理研究やデザインの世界では「ターナー」と表現されることが一般的です。したがって柳宗理のターナーもフライ返しと同じと考えてかまいません。
ターナーは穴ありと穴なしのどっちがいい?
柔らかい料理には穴なし、油や水分を落としたい料理には穴ありが使いやすいとされています。
穴なしターナーは、オムレツやパンケーキのように形を崩したくない料理にぴったりです。また、お好み焼きやチヂミなどを焼くときにもまんべんなく押し付けられます。
一方で穴あきターナーは、余分な油や水分を切りながら盛りつけたいときに便利です。揚げ物や炒め物をすくった際に、穴から油が落ちるのでべたつきにくく、仕上がりが軽やかになります。製品によっては、茹でたじゃがいもをつぶすなど、ちょっとした下ごしらえにも役立ちます。
柳宗理のターナーは非常に頑丈ですので、マッシャー代わりにターナーSを使ってもよいかもしれません。
柳宗理のターナー、バタービーターは機能美あふれる名作プロダクト

ターナーは、ステーキをひっくり返したり目玉焼きをすくい取ったりと、日々の調理に欠かせないキッチンツールの一つです。使いやすいだけでなく美しいターナーであれば、きっと毎日の料理が楽しくなることでしょう。ロングセラーを続ける柳宗理のターナーを一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
また、本記事で紹介したレズレー、工房アイザワ、ICHIBISHI(一菱金属)のターナーも機能美あふれるプロダクトです。

