画像引用:楽天市場
柳宗理のエレファントスツールは、象の足のようなどっしりとした安定感を持ったプラスチック製プロダクトの名作です。1954年にデザインされたとは思えない斬新なフォルムは、今も新たなファンを獲得し続けています。
本記事は柳宗理のエレファントスツールやプラスチック製のスツールをお探しの方に向けて、柳宗理デザインのエレファントスツールの特徴やメリット、注意点、口コミ・評判などを徹底解説します。比較候補となるプロダクトも紹介していますので、購入検討にお役立てください。
柳宗理デザインのエレファントスツールとは?
柳宗理の「エレファントスツール」は、スツールの世界的名作です。象(エレファント)の脚を思わせる三次元曲面の脚部と、彫刻のようにまとまったフォルムが特徴で、シンプルなのに存在感があるのが魅力。リビングのサイドチェアや玄関の腰掛け、子ども部屋まで、使う場所を選ばないデザインです。
エレファントスツールが歴史的なプロダクトとして語られる理由の一つは、プラスチックの“完全一体成形”という先進性にあります。諸説ありますが、世界初のプロダクトだといわれています。
当時の工業デザインの流れのなかで象徴的なプロダクトであったのは間違いなく、その後のプラスチック家具に大きな影響を与えました。
エレファントスツールの商品情報と実勢価格
エレファントスツールの基本仕様を以下に示します。
| サイズ | 幅約51.5×奥行約46.5×高さ約37cm |
| 重量 | 約2.1~2.3kg ※ヴィトラ公式では非公表。ショップによって重量に差があります |
| 素材 | ポリプロピレン |
| メーカー | Vitra(ヴィトラ)社 |
| 製造国 | イタリア |
| メーカー希望価格 | 1万8,700円 |
エレファントスツールはコトブキ、ハビタ(Habitat)など複数のメーカーで製造されてきましたが、2025年現在はVitra(ヴィトラ)社が製造しています。ヴィトラ社はイームズやジョージ・ネルソンなどの歴史的巨匠の作品や現代デザイナーの家具生産を手がけるスイスのメーカーで、製造自体はイタリアで行っています。
実勢価格はメーカー希望価格とほぼ同じ1万8,700円程度です。値引きはあまり期待できないため、できるだけ安く購入したいという方は、メルカリやヤフオク!などで中古を検討するとよいでしょう。
エレファントスツールがロングセラーの理由
エレファントスツールが誕生して、すでに半世紀以上が経過しています。いまだに愛用する方が多いのはなぜなのでしょうか?その魅力やメリットをご紹介します。
柳宗理ならではの独創的デザイン
エレファントスツールの魅力は、工業製品でありながら生き物のような柔らかさを感じる造形にあります。脚と座が一つの塊としてつながるフォルムは、実用性も備えつつ、何ともかわいらしくユーモラス。
エレファントスツールの発表年である1954年は、敗戦後の日本からGHQが引き上げてからわずか2年後の昭和29年であり、あの時代にこれほど未来的なスツールが生み出されたことに驚く方も多いのではないでしょうか。
もしもキューブリックの「2001年宇宙の旅」に、アルネ・ヤコブセンのカトラリーとともにエレファントスツールが登場していたとしても、おそらく違和感を持たないでしょう。

「±0(プラスマイナスゼロ)シリーズ」や「HIROSHIMAアームチェア」などで有名なプロダクトデザイナーの深澤直人さんは、エレファントスツールには柳宗理の手のクセや本質的な形がバタフライスツール以上によく現れている(※)と述べています。

イギリスを代表するデザイナーのトム・ディクソンは、オリエンタルにもヨーロピアンにも見え、どんなインテリアにもなじむと述べています。
出典:MAGAZINE HOUSE(2008).BRUTUS Casa 柳宗理
サイドテーブル・台座・風呂椅子としても使える
エレファントスツールは、名作としての造形美に加えて活用の幅が広い実用品でもあります。特に現行のポリプロピレン(PP)製は、軽さとタフさのバランスがよく、日常のなかで椅子以外の役割も担える点が魅力です。
実際にエレファントスツールを購入した人の利用方法としては、以下のようなものが見られました。
- ソファ横のサイドテーブル
- 化粧台やウォークインクローゼットの作業用スツール
- 観葉植物などを置く台座
- お風呂の椅子(※床材によっては滑りやすいため要注意)
- 踏み台代わり
いろいろな活用シーンをイメージしてみてはいかがでしょうか。

柳宗理との親交が深く、ル・コルビジェのLCシリーズの共同制作者としても有名なシャルロット・ペリアンは、モンマルトルの自宅のテラス用の椅子としてエレファントスツール(黒)を使用

自作のPERRIAND CHAIR(ペリアン・チェア)の黒とそろえて並べた様子はとてもおしゃれです!
スタッキングできるので省スペースに収納できる
エレファントスツールは、スタッキング(積み重ね)できる構造となっています。数脚あっても収納スペースは1脚分ほどで済み、来客用の備え椅子に最適です。
隙間なく積み上げられるため、4~5脚でもあまり高くなりません(※写真をみるかぎり15cm程度と推測できます)。また、色違いでスタッキングすると横からみたときの見た目もおしゃれです。
例えば、ホームパーティでゲストが4~5人来ることが多いといったお家庭は、エレファントスツールが大活躍するでしょう。もともと、エレファントスツールは柳宗理の狭いアトリエで仕事の関係者やゲストに座ってもらうためにデザインされた椅子ですので、本来の使い方に近いともいえるのです。
見た目以上に座り心地がよい
エレファントスツールは、オブジェのような見た目ですが、実際に座ると意外な安定感と落ち着きがあります。エレファントスツールは3本脚が体重を受け止める合理的な構造で、どっしりとした「象足」構造は安定性も抜群なのです。
また、一般的な補助椅子や丸椅子に比べると、座面が広め。玄関の腰掛けのような一時的な利用だけでなく、ホームパーティや子どもの学習といった比較的長時間の使用にも向きます。

バタフライスツールが背筋の伸びる感じのスツールとすれば、エレファントスツールは大人も子どももリラックスして座れる椅子といえるかもしれません。

楽しそうな雰囲気の椅子ですので、小さなお子さまのスタディ・チェアなどとして使うと、抵抗感なく机に向かってもらいやすくなるかもしれませんね。
脚を除いてエッジがないため、頭をぶつけてケガといった心配も減らせます。
丈夫なのでアウトドアでも使いやすい
エレファントスツールは、屋内の名作というイメージが強いですが、実は外でも気軽に使えるタフさがあります。特に現行のヴィトラ製は耐候性に配慮されており、ベランダや庭などでも使いやすい仕様になっています。
例えば、天気の良い日にベランダで読書をしたり、庭先でちょっと腰掛けたり、といった使い方に向きます。「土ぼこりがついてしまった」というような場合も、一体成形のエレファントスツールであれば、ホースの水で汚れをさっと落とすのも簡単です。
女性や子どもでも楽に運べるほど軽量
エレファントスツールの重量は約2.3kgと、平均的な木製のダイニングチェアの重量の半分くらいです。女性の方やお子さまでも持ち運びやすいでしょう。
掃除のときにちょっと脇によけたい際や、2階や庭に運ぶといった際も楽ちんです。
エレファントスツールの少し残念なところ
エレファントスツールを購入する前に検討しておきたい点もあります。
長時間日光にさらすと変色する恐れがある

先述したように、エレファントスツールはアウトドア使用が可能ですが、直射日光に長時間さらすと変色の可能性がある点に注意が必要です。素材はポリプロピレンで、紫外線による退色を遅らせる加工が施されていますが、それでも完全に無影響というわけではありません。
ですので、屋外での置きっぱなしは避け、使用後はその都度室内に戻すようにするとよいでしょう。また、屋内でも、エレファントスツールは直射日光の当たる位置に置かないほうが無難です。
ジェネリック品は正規品と違う場合がある
エレファントスツールは名作ゆえに、正規品だけでなくジェネリック/リプロダクトも広く流通しています。
ジェネリックの品質はピンキリなので一概にはいえませんが、以下のような点に注意が必要です。
- 成形精度の差
角の処理、表面のムラ、座面の仕上げなどが個体で違う可能性。
正規品はW515×D465×H370mmですが、ジェネリック品のなかにはW530×D530×H370mmといった品があります。
- 安定感や耐久性のばらつき
本来の魅力である3本脚の安定性や剛性が、素材配合や成形条件で変わり得ます。
- 床への影響
正規のPPは「床を傷つけにくく、割れにくい」などの機能面が強調されています。
ジェネリックは同素材表記でも仕上げや硬さが異なることがあり得ます。
- 保証・信頼性
正規品は販売元や流通が明確で、長期的な安心感を得られます。

Amazonなどでは、以下のジェネリック品が人気のようです。
口コミは悪くありませんので割り切って購入するというのもアリかもしれません。
カラーバリエーションが少なくなった
エレファントスツールは時代や製造元によって素材だけでなく、カラーバリエーションも変わってきました。現行のヴィトラ公式ラインは「ブラック」「クリーム」の2つだけですので、「昔より選択肢が少ない」と感じる方もいるかもしれません。
オリジナル期のコトブキ製FRPは、柳宗理の事務所で使用されているエレファントスツールを見る限り、レッドやブルー(水色)、ホワイト、ブラックなど複数色のバリエーションがあります。ポップなインテリアや70’sテイストが好きな人にとっては、ヴィトラの色展開よりコトブキ製のほうが魅力的に見えるかもかもしれません。
エレファントスツールの口コミ・評判
エレファントスツール(正規品のみ)を購入したユーザーからは以下のような口コミがみられました。
- 部屋のアクセントになる
- インテリアの主役にも、名脇役にもなれる
- 低めの高さがメイクなどにちょうどよい
- 誕生日プレゼントで贈り、気に入ってもらえた
- 座り心地が悪く見えるが、実際は絶妙に体にフィットする
悪い口コミは基本的にありませんでしたが、「価格改定で高くなったのが残念」「悪目立ちはしないが主張はそれなりにある」といった意見はみられました。
柳宗理のエレファントスツールの開発ストーリー

柳宗理は、工業デザイナーたるもの最新技術で新たなプロダクトを生み出していかなければならないという使命感を持っていました。1950年代当時の新素材である「FRP(繊維強化プラスチック)」と一体成形という組み合わせは、柳宗理を大いに刺激したと考えられます。
しかし、どんなプロダクトでも「用の美」という原則を忘れないのが柳宗理です。柳工業デザイン研究会によると、エレファントスツールは、スペースに限りがある柳宗理のアトリエで使うことを想定し、「丈夫で安定した椅子」「軽量かつスタッキングできる椅子」としてデザインされました。
販売開始後ほどなくして、エレファントスツールはその独創的なデザインと実用性の高さで評判となり、家庭や公共施設で幅広く使われるまでになっていました。1970年代に製造中止になるまでには、海外にも熱心なファンがいたとされています。
しかし、柳宗理自身はプラスチックという環境問題の原因となる材料でプロダクトを作ることに問題意識を抱いていました。柳宗理は、工業デザイナーはときに公害を生み出す存在であると厳しい意見を持っていましたが、それは自省を含む視点だったと考えられます。
その後、2004年にVitra(ヴィトラ)社が環境負荷が少ないポリプロピレン素材でエレファントスツールを復刻しました。今後も引き続き、エレファントスツールは世界中で愛され続けていくでしょう。
エレファントスツールとつながりのあるプロダクト3選
ここではエレファントスツールとの比較候補になりそうなデザイナーズ家具を3つ選びました。
イームズの「シェルチェア」
「シェルチェア」はチャールズ&レイ・イームズが1940年代後半に開発した座と背を一体のシェル(殻)として成形した椅子の総称です。1948年に発表され、のちに量産プラスチックチェアの先駆けとして広く知られるようになりました。
現在では、シェルに組み合わせるベース(脚)の種類も増えており、ダイニング・オフィスなど用途に応じて選べる点も大きな魅力です。
当初はFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を用いたモデルが中心で、戦後に普及しはじめた新素材を家具へ転用した象徴的なプロダクトです。柳宗理と同じく、イームズも新素材と一体成形という技術に取り組んでいたのです。

シェルに組み合わせるベース(脚)の種類も増えていて、ダイニング・オフィスなど用途に応じて選べる点も大きな魅力です。
下のシェルチェアはステンレスベースですね。
ミッドセンチュリーのアイコン的アイテム「タムタムスツール」
フランス人デザイナーのアンリ・マソネが1968年デザインしたタムタムスツールは、打楽器をモチーフにしたシンプルな構造と鮮やかなカラーが特徴のフランス製プラスチックスツール。1960〜70年代を象徴するアイコニックなプロダクトとして知られ、現在も正規品が流通しています。
タムタムスツールは、価格が手ごろで一般家庭にも広く普及しました。この点において、エレファントスツールと通じるところがあるといえるでしょう。
フィリップ・スタルク「プリンス アハ」
プリンス アハは、フィリップ・スタルクらしい遊び心とカルテルの樹脂成形技術とが融合したコンパクトな名作スツールです。エレファントスツールのような一体成形系のプロダクトが好きな人なら、別路線の定番として検討してみてはいかがでしょうか。
最大の特徴は砂時計を思わせるシルエット。シンプルな几帳面さより、ポップで彫刻的な存在感をインテリアに加えたい方におすすめです。
スツールだけでなく、オブジェやサイドテーブル的に使えるマルチな使い勝手もプリンス アハの魅力の一つ。ふたが外れる構造なので、小物や雑貨をしまえる点もうれしいポイントです。
エレファントスツールは暮らしに幅が出るおしゃれで実用的なスツール
エレファントスツールは、象の脚を思わせる三次元的な3本脚と彫刻的な一体成形フォルムが魅力です。軽量・頑丈・スタッキング可能という実用性があり、絶妙の形状によって椅子以外にも、サイドテーブル、台座、風呂椅子、踏み台など、いろいろな使い方が考えられます。
価格も手ごろで口コミ・評判も総じて良いため、ぜひ購入を検討してみてください。
エレファントスツールについてのよくある質問
ここではエレファントスツールについてよくある質問を取り上げて回答します。
エレファントスツールの正規品はリプロダクトと何が違うの?
エレファントスツールの正規品は、現行ではヴィトラ社製です。過去の正規品としては、コトブキとハビタ(Habitat)があります。
これらのプロダクトは柳宗理が正式に販売を認めていたため、品質・デザイン面に問題はないと考えられます。ただし、2000年から製造されたハビタ製は、メーカー側が品質面で問題があるとして製造を打ち切っています。
一方、エレファントスツールは名作であるためリプロダクト(ジェネリック)品も少なくありません。これらは成形や仕上げの差、安定感・耐久性のばらつき、保証や返品条件で問題がある場合もあります。リスクを踏まえたうえで購入を検討するとよいでしょう。
エレファントスツールは環境に配慮したプロダクトなの?
現行のエレファントスツールは環境配慮の観点を意識したポリプロピレンで作られています。
初期はFRPで作られていましたが、2004年からのヴィトラ社の復刻製造を機にポリプロピレンが使われるようになりました。エレファントスツールは、名作としての造形価値だけでなく、現代の使用環境や環境意識に寄り添う形でアップデートされたプロダクトといえます。
エレファントスツールのヴィンテージはあるの?
ヴィンテージと呼ばれやすい個体は、1956年から1970年代まで製造されたコトブキ製と、2000年から製造されたハビタ製です。
これらはメルカリやヤフオク!などでも比較的流通量が多いですが、モデルによっては希少価値が出ています。現行では「ブラック」「クリーム」の2色ですので、レッド、ブルー(水色)が欲しい方は旧モデルを探すことになります。

