近年、醤油の密封ボトルが普及し、それにともなって醤油差しを使わなくなった方もいるかもしれません。とはいえ、食卓が無粋になってしまうのは避けたい、と感じる方も多いのではないでしょうか。また、醤油にこだわる方のなかには、「醤油差しも良いものを使いたい」と考える方もいるでしょう。
そうした方にとって、柳宗理の「和食器シリーズ」の醤油差しは、魅力的な選択肢のひとつです。本記事では、実際に柳宗理の醤油差しを使ってみた体験談も交えながら、その特徴や柄の種類、サイズ、使い勝手などを解説します。ぜひ購入の参考にしてください。
柳宗理 和食器シリーズの醬油差しが復刻!
柳宗理の和食器シリーズは、1975年に普段使いの和食器としてデザインされた器。このシリーズの一つとして醬油差しがあります。柳宗理の食器は装飾を抑えたものが多いですが、このシリーズは例外的に、本人が染付の模様まで手がけた点でも知られています。
柳宗理の和食器シリーズは、生産を担う工場の変化にあわせて仕様の見直しが重ねられてきました。そうしたなかで2022年、柳工業デザイン研究会の監修のもと、美濃焼の陶磁器メーカー「深山(みやま)」が和食器シリーズを復刻しました。
今回の復刻では、鳴門の渦潮をモチーフにしたといわれる「染付紋・渦」に加えて、無地の「古白磁」が新たに追加。「古白磁」は、誕生当時の柳宗理の思いに即しつつ、白のみという最小限の表現で新たにデザインしたプロダクトです。
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柳宗理 和食器シリーズの醬油差しの種類・サイズ
柳宗理 和食器シリーズの醬油差しは以下の種類が選べます。
| 仕上げ | 寸法 | 容量 | |
| 大サイズ | 染付紋・渦 古白磁 | w91×d72×h100 | 100cc |
| 小サイズ | 古白磁 | w83×d62×h83※ | 50cc |
※深山公式ページではh183となっていますが、おそらくh83の誤記と思われます
食卓で複数人が使うことが多いなら、大サイズが選びやすいです。柳宗理が1975年に設計した大サイズは100ccで、当時の一般的な容量感を踏まえたサイズでした。ちなみに、キッコーマンの醤油瓶(卓上瓶)は150mlです。
少人数の食卓や、醤油を少しずつ使いたいなら小サイズが合います。2022年の復刻では、現代の食生活や核家族化に合わせて50ccの小サイズが追加されました。少量ずつ入れて使いたい方や、こまめに補充しながら使いたい方にも向いています。
柳宗理 和食器シリーズの醬油差しの良かったところ
ここからは、柳宗理の和食器シリーズの醬油差しを実際に使ってみて良かったところをご紹介します。個人の感想が一部混じっていますが、購入検討の材料になればということであえて含めているためご了承ください。
愛らしいフォルム
柳宗理の和食器シリーズの醬油差しは、機能を考え抜いた道具でありながら、どこか親しみのある佇まいも魅力です。
底が広いフラスコのような形と、丸みを帯びたフタが合わさることで、どこか愛らしい印象に見えます。

ちょっと奮発したお刺身を買った日には、きりりと清冽な趣を添えてくれますし、納豆ご飯や冷ややっこといったいつもの食卓では、親しみやすい佇まいを見せてくれます。

一見フツーの醤油差しなのですが、よく見てみると、これ以上の醤油差しのデザインは考えられないと思うくらいの愛着がわいてきます。
ぷっくりしていて倒れにくい

柳宗理の和食器シリーズの醬油差しは、底まわりにふくらみを持たせた、安定感のある形が特徴です。テーブルの上でうっかり手が当たってしまっても倒れにくい点は、日常的に食卓にのぼるものだけに、大きなメリットといえるでしょう。

実際、キッコーマンの醤油瓶は首の部分に手が当たると倒れそうになることがありますが、柳宗理の醤油差しは、ズズッと動くだけで、なかなか倒れる気配がありません。

小さな子どものいる家庭や、大人数で食卓を囲む場合でも、安心して使いやすいといえるでしょう。
ちょうどよい容量とサイズ感
醬油差しは100cc〜150ccが一般的ですので、柳宗理の醤油差しはやや控えめな容量といえるでしょう。
大サイズは、たっぷり入りすぎず、かといってすぐ空になるほど小さくもない、ちょうどよい落ち着きがあります。醤油の鮮度が気になり始めたら、料理などに使えば、割とすぐに空にできます。
小サイズは50ccと少なすぎると感じるかもしれませんが、意外にもつ量です。お酢など少量のものを入れてもよいかもしれません。

今まで密封ボトルの醤油(500ml)を使っていましたが、柳宗理の醤油差しにしてからは食卓がすっきりした印象になりました。
醤油の入れ替えがスムーズ


柳宗理の醤油差しのフタは、かぶせてあるだけのタイプですぐに外せます。口径は適度な大きさがあり、1リットルの醤油ペットボトルからでも、比較的ストレスなく注ぎ入れられます。
フタとの間に鮮度劣化を心配するような大きな隙間はなく、使うときにカタカタと音が鳴ることもありません。

ちなみに、このフタは人差し指の腹に沿うようにわずかにくぼんでおり、醤油を注ぐときに押さえると心地よい安定感があります。
柳宗理 和食器シリーズの醬油差しで注意したいところ
柳宗理の醤油差しの購入をお考えの方に知っておいてもらいたい注意点も幾つかありました。どれも公式サイトやショップサイトではあまり書かれない情報ですので、一通り把握しておくことをおすすめします。
「伊藤家の裏技」を使わないと液だれしてしまう

柳宗理の醤油差しは、残念ながら液だれします。注ぎ方のコツもひょっとしたらあるのかもしれませんが、試してみたところ、3回に2回くらいは垂れるような結果となりました。
一般的に、陶器の醤油差しで「絶対に液だれしない」ことは、なかなか難しい部分もあるようです。「醤油差しで液だれは絶対に許せない」という方は、注ぎ口を細く精密につくりやすいガラス製、またはプラスチック製を探したほうがよいかもしれません。

しかし、醤油差しの注ぎ口の下側にリップクリーム(無味無臭タイプ)を薄く塗るという「伊藤家の裏技」を使ったところ、問題は解決しました!

この裏技は「4~5日しか効果がない」と紹介されていますが、わが家では1ヵ月以上たっても垂れない状態が持続
手間もほとんどかからず、今のところ液だれの悩みはなくなっています。何かの参考になるかもしれないので、実際に使ったリップクリームも念のため掲載しておきます。
洋食多めのご家庭は大サイズでは使いきれない可能性
柳宗理 和食器シリーズの醤油差し(大)は、100ccで設計されています。1970年代当時は、醤油差しの容量として100cc〜150ccが一般的だったとされるため、当時の感覚では標準的なサイズでした。
ですが、今は和食以外の献立が増え、卓上で醤油を使う機会そのものが少なくなっています。そのため、和食以外の献立が多いご家庭では、100ccはやや多く感じるかもしれません。こうした場合には、50ccの「小」サイズを選んでもよいでしょう。

ただし、「小」サイズには、2026年3月時点で「染付紋・渦」がありません。
また、小サイズはオリジナルの大サイズをもとに、現代の暮らしに合わせて新たに設計された点も知っておきたいところです。
人によっては持ちにくく感じる可能性がある

柳宗理の醤油差しは、深山の公式サイトでも、しっかりとつかみやすいデザインと説明されており、実際そのとおりだと感じます。
しかしながら、首部分を持って使う習慣がある人にとっては、柳宗理の醤油差しに少し不安を覚えることがあるかもしれません。例えば、キッコーマンの醤油瓶は首部分がくぼんでいるため指がひっかかりやすいのと比べると、柳宗理の醤油差しはストレートな形なので、同じ感覚では持ちにくく感じることがあります。
もちろん、胴体部分を持てばよいので、あくまで慣れの問題です。ただ、首部分をつまむように持つクセがある方は、この点をあらかじめ想定しておくとよさそうです。
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柳宗理 白磁器シリーズの醤油差しとの違い

画像引用:YANAGI DESIGN
柳宗理の白磁器シリーズは、1956年に始まったテーブルウェアのシリーズです。100%天草陶石を使い、そのなかでも鉄分をほとんど含まない白い石を選んでいることから、透明感のある白さとすっきりとしたモダンな印象が大きな特徴です。1999年には、上田陶石から一部アイテムが復刻されました。
とくに白磁器シリーズの醤油差しは、独創的なフォルムが目を引きます。デザイン性の高さという点で、この醤油差しに勝るものはなかなかありません。

ただし、購入者レビューを見るかぎりでは、密閉性が低い(和食器シリーズと違いフタがない)、液だれするなど実用面で難を感じる人もいるようです。そのため、柳宗理のプロダクトのなかでも、「用」よりも造形の個性がより前面に出ているアイテムといえるかもしれません。

現在も白磁器シリーズは上田陶石で醤油差し・土瓶・湯呑み・カップ・ソーサーが製作されていると案内されていますが、入手しにくい状況のようです。どうしても欲しい場合は、取扱店の在庫を確認しつつ、中古市場も選択肢のひとつとして考えるとよいでしょう。
おしゃれな醤油差しで食卓を彩ろう!
柳宗理の和食器シリーズの醤油差しは、餃子や納豆などの日常の食卓から、豪華なお刺身まで、気持ちよく使える実用的な醤油差しです。色や佇まいは控えめなのに、食卓ではしっかり絵になるところも、さすが柳宗理デザインといえるでしょう。
価格はそれほど高くないため、「日々の食事に趣を添えたい」「おしゃれな醤油差しが欲しい」といった方は、ぜひ購入を検討してみてはいかがでしょうか。

